片山のお魚通信 / 魚をおいしく使い切るために
片山水産の片山です。魚の仕入れと料理、両方の立場からお店の魚選びをお手伝いしています。今日は、あら汁やあら炊きの前に押さえておきたい、魚のあらの下処理のお話です。
せっかくの魚ですから、頭や骨の周りもおいしい一皿につなげたいですよね。ただ、煮上がったあとに臭みが気になったり、うろこが口に残ったりすると、もったいない。仕上げの味付けに入る前に、まず下処理を見直してみましょう。
最初に、ここだけ覚えてください。
湯を通したあとも、残った血とうろこを確かめる。
鯛のあらを例に、このひと手間を含めた4段階と、お店の仕込みにつなげる考え方をご紹介します。
鯛と料理の絵・手順図は、この記事用に生成したイメージイラストです。実際の入荷品や作業を撮影したものではありません。
買う前に、使う料理と部位を決めておく
「あら」といっても、頭が多いもの、中骨が中心のもの、身の付いたカマを含むものでは使い方が変わります。ここでいう「あら」は、魚をおろしたあとに残る頭や骨などの部分のこと。魚種名の「アラ」とは別です。
仕入れ先に伝えるなら、「あらが欲しい」から、もう一歩。「鯛のあら汁を出したい」「一人前のお椀に収まる大きさがいい」と、何を作って、どんな器に盛るかまで話してみてください。部位やカットの相談が具体的になります。
硬い頭は、無理に割らなくて大丈夫です
大きな頭を切るには、適した道具と技術が必要です。無理に包丁を入れる前に、購入時にカットを頼めるか確認しましょう。「ここまでは仕入れ先、ここからは店内」と、作業の分担を決めておくことも大事です。
受け取る前には、魚種、部位の内訳、カット済みか、生鮮か冷凍かを確認します。仕込みを始めてから「思っていたものと違った」とならないよう、最初にそろえておきたい情報です。
鯛のあらの下処理は、4つに分けて確認
今回は、加熱して食べる鯛のあらを例にします。塩の量や置く時間、湯の使い方は料理によって異なるので、実際に作るレシピに合わせて進めてください。
1大きさを整え、塩を使う
まず、鍋や器に合う大きさのあらを用意します。塩を振ってしばらく置き、余分な水分とともに臭みを抜く方法があります。全国味淋協会の「鯛のあら炊き」も、このあとに湯をかける手順です。塩を増やすほどよいわけではないので、後の味付けも含めて分量を確認しましょう。
2霜降りをして、冷水へ
ニッスイの「たいのあら汁」では、塩を振ったあらを熱湯にくぐらせ、氷水に移します。この工程が霜降りです。ここで煮込んでしまわないよう、先に冷水を用意してから取りかかりましょう。湯に長く浸けたままにしないこともポイントです。
3血とうろこを、残さず確かめる
冷水の中で血合いやうろこを取り除きます。ひれの付け根などは、うろこが残りやすい場所。向きを変えて見てみてください。骨のとがったところで手を傷つけないよう、注意して作業します。
ここは、ひと呼吸置いて見てほしいところです
湯を通すと、下処理が終わったように感じるかもしれません。でも、口に残るうろこは、あとから味付けで直せません。煮る前にもう一度、ひれの周りや骨の間を確かめておきましょう。
4水気を切り、調理へ進む
洗い終えたら水気を切って、予定した料理に使います。処理後のあらを、生の魚を置いたままのまな板や汚れた容器に戻さないように。処理前と処理後の置き場所を分けておくと、作業が整理しやすくなります。
手順の参考:全国味淋協会「鯛のあら炊き」/ニッスイ「たいのあら汁」
あら汁とあら炊き。盛り付けから仕込みを考える
下処理を終えたら、次はどんな一品にするか。同じ鯛のあらでも、汁物と煮物では、準備するときの着眼点が変わります。
お椀の一品にするなら
あら汁
お椀に無理なく収まる大きさを確認。下処理後は具材と煮て、出てきたあくを取りながら仕上げます。汁だけでなく、食べるときの骨の扱いやすさにも目を向けましょう。
一皿のおかずにするなら
あら炊き
一人前にどの部位を、どのくらい盛るかを決めます。下処理を済ませたら、煮汁の配合と煮方は作る料理のレシピに合わせて。提供時には、骨があることもお伝えください。
お店のメニューにするなら、一度作って「何皿取れたか」「仕込みに何分かかったか」を残しておくと、次の発注を考える手がかりになります。仕入れ値だけでなく、厨房で無理なく回せるかも一緒に見ていきたいですね。
「この料理に使いたいけれど、どんな形で仕入れればいい?」
そんな段階でも構いません。まずは、作りたい料理をLINEでお聞かせください。
配送日や下処理の対応範囲は、魚種・ご注文内容・納品先に応じてご確認ください。
下処理のあとも、温度管理と加熱を忘れずに
塩や霜降りだけで、安全に食べられる状態になるわけではありません。すぐに使わない分は作業台に置き続けず、ほかの食品に汁が付かないよう容器に入れて冷蔵します。冷凍品は必要な分だけ解凍し、解凍後は速やかに調理してください。
手や器具を清潔に保ち、生の魚と調理済みの食品を分け、中心まで十分に加熱することも必要です。飲食店では、自店の衛生管理計画や仕入れ品の表示・指定条件に従って管理しましょう。
臭いを隠して使う、は避けてください
品質に疑いがある魚を、酒やしょうがでごまかして提供しないでください。反対に、見た目や臭いに異常がなくても、それだけで安全とは判断できません。
衛生管理の参考:厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」
あらの下処理で、よくある3つの疑問
Q.湯をかけるのと、くぐらせるのはどちらがよい?
紹介した鯛のレシピでは、あら炊きは湯をかけ、あら汁は湯にくぐらせています。湯の使い方だけを切り離さず、料理全体の手順に合わせてください。どちらも、そのあとに残った血やうろこを取り除きます。
Q.下処理しておけば、何日か保存できる?
一律に何日とは決められません。仕入れ時の状態や保存条件で変わります。下処理で期限が延びるとは考えず、表示・仕入れ先の案内・お店の管理基準を確認しましょう。
Q.魚の仕入れと下処理を、一緒に頼める?
片山水産では、うろこ取りや三枚おろしなどに対応しています。小魚など難しいものもあるため、魚種と希望の加工内容をご相談ください。あらの同梱やカットについても、対応できる範囲を個別にご確認いただけます。
献立から、一緒に仕入れを考えましょう
魚を仕入れるとき、魚種と値段だけで決めきれないこともあると思います。どの料理に使うのか、仕込みにどれくらい時間をかけられるのか。そこまで聞かせていただけると、お店に合うご提案につながります。
片山水産は、福岡・長浜市場を拠点に、料理人の目線で魚の仕入れをご提案しています。大きな魚の半身・四分の一での仕入れなども、飲食店様向けのご案内でご紹介しています。
まだ、全部決まっていなくて大丈夫です。
まずは料理名と、困っていることをお知らせください。魚種・必要な量・希望する下処理・納品先と希望日も、分かる範囲で添えていただけると相談が進めやすくなります。
例えば、こんなご相談から。
「鯛のあら汁をメニューに加えたいです。仕入れの形と、お願いできる下処理の範囲を相談できますか?」
加工・あらの取扱い・価格・配送地域・到着日は、ご希望に合わせて確認します。バナーに記載の配送案内も、納品先などによって条件が異なります。




